稀代のロリコン岩井俊二監督が広瀬すずと森七菜を今の瞬間のうちにフィルムに残そうと、その変態的才覚を抜群に発揮してしかも福山雅治を相手役にすることで誤魔化した、とても素晴らしいジャンル映画
しかしちゃんと商業映画として成立させているのは流石
前半、一方通行の手紙のやり取りから全体像を浮かび上がらせていくミステリ的手法から、後半一気にドラマティックに盛り上げていくのは流石だが、主軸に思われるドラマ部分はあくまで描きたいことのための舞台装置にしか過ぎない
母と娘、過去と未来、福山雅治と豊川悦司などキャラを表裏に立てながら、恋愛の独善性、自分勝手さを残酷に描いていく
個人的に恋愛感情はベクトルが片方に向けただけと思ってる僕には深く刺さってくる
その辺りを手紙を使って描いている演出方法は見事
それはそれとして、広瀬すずと森七菜にそれぞれ母親の高校時代と娘役を演じさせているのだけれども、その描き方と演じさせ方が岩井俊二監督特有のフェティシズムに満ち溢れてて、それを隠そうともしないし、それをちゃんと演じられる二人も凄い
森七菜とか途中まで同じ役者と思えなかった
もちろんそういったフェティシズム的な部分はそういう趣味の人間にしか分からないとは思うが、一本のロマンティックな、かつオーソドックスな恋愛映画として非常によく出来ているので、万人に勧められる作品に仕上がってる