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ラストレターのKのネタバレレビュー・内容・結末

ラストレター(2020年製作の映画)
2.3

このレビューはネタバレを含みます

岩井俊二作品に庵野秀明。式日からずっと仲は続いてるのかな。

映像は綺麗。
ただし内容が本当に、、、

お伽話のような話。新海誠のような未成熟さがちらほら垣間見える。
男性が理想とする女性像が前面に出ている。純粋であどけなくて、儚げな。
かくいう僕もそういう女性に夢は見る。タッチの南ちゃんだって最高だと思っています。

でも現実の人間は、あんなに心の傷に即整理がつけられるものだろうか。
母親が死んで未だ1ヶ月です。身体的な病気ではない、精神疾患に苛まれて自傷行為、自殺企図しながら徐々に死に向かっていった。
ということは、娘も、母親実家の祖父母も、もっとやつれていてもいいものです。
あるいは、まるで介護から解放されたかのように、母親が死んだ事でホッとしていたって別におかしくない。
僕が違和感を覚えるのは、どんな反応にせよ、"反応の描写が無い"事についてです。

福山雅治の存在も、少々分からない。母親は豊川悦司と駆け落ち結婚した後もずっと福山雅治を想い続けていたのでしょうか、、、なんかもうそうなるとこの25年間お互い何してたんでしょうね、
例えば新海誠の「秒速五センチメートル」を挙げれば"男は初恋を忘れられず、女性は前進していく"という儚さが美化されて映し出されます。今作は"男も女も初恋を忘れられない"という男の願望が映し出されます。

悪いわけでは有りません。ただそうなると娘が不憫過ぎませんか。母親は豊川悦司と結婚してから、現実感を持たずに生きてきた事になります。でも娘も「いつか福山雅治が助けに来てくれる」って一緒に夢のような発想している始末。
福山雅治は、原稿は送るという図太さはあるのに現実的に接近はしていないし
なのに死後に訪れて"大学時代不穏を感じてたのに救えなかった感"に浸り、娘も「もっと早く助けに来てくれれば」と。いやいや、兆候もサインもはあったでしょうよ、、

遠野未咲を現実的に助けようとした人はどれ程居たのか。それが画面から伝わってこなかったのが、モヤモヤの要因かも知れない。

あと松たか子と広瀬&森の字を別人だと判別出来てなかったの?福山。まぁそれは瑣末な事ですからいいです。

ドローン撮影も、高画質のカメラも、構図も、青春感ある高校風景も、やり取りも、瞬間瞬間が美しい。
「打ち上げ花火〜」もそうですが、本当にノスタルジックとか風景の諸行無常感を描かせたら、最高の監督だと僕は思っています。
ガワに関しては結構楽しみました。森七菜と広瀬すず組の演技も、松たか子の演技も好きだし皆綺麗で全く飽きません。画で退屈することは全く無かったです。
あと福山雅治の神木隆之介の演技に寄せてるのがちょっとした見所。

ただのノスタルジー映画ならきっともっと楽しめたでしょう
K

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