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永遠の門 ゴッホの見た未来の010101010101010のレビュー・感想・評価

4.0
ゴッホの狂おしいまでの哀しさ(孤独)(と、だからこそ生起する煌めくような永遠的瞬間の悦び)が、映像、音楽・音・沈黙のうちに、満ち満ちている。
彼の絵の色調を反映しているような映像の彩度、時に陽光で白く飛んだり、近距離すぎたりフィルターが掛かってボヤケてしまったりしている、ブレブレの手持ちカメラの速度感、眩い光、青い影、自然を揺さぶる風、塗れる土、発光するような緑…、前半部はそれが彼の自然へと没入し絵画にぶつけてゆく速度と重なり、また後半は同時に彼の不安定な精神状態を描き出す。

社会が彼を狂人にしたのであって、ゴッホは本来狂ってなどいないのだ、と、(アントナン・アルトーにも思いを寄せつつ)言ってしまいたくなる。
彼の切実さ、愚直さ、純朴さ、不器用さ…、人に理解してほしいという想いと、そんなものいらん、当てにならん、という不信感、それでも人に近づきたい、信頼関係を築きたいという想い…、その思うようにならなさ…。

ゴーギャンという人物の評価に困ってしまう…。都合いいように見えるところもあるが、それでもゴッホにとって唯一の信頼できる人だったに違いない。互いにすれ違いを繰り返してしまうのは、ゴッホの純朴さゆえ、というところもあるんだろうな…。

作品の中で、仏語と英語が混在しているのがどういうことなのか、ちょっと掴みきれなかった…。
ピアノの演奏もまた、ちょっと不安定さと煌めきのあるもので、この映画の裏の主人公であるようにも感じた。
(アルトーは確か、「ゴッホは偉大なる音楽家だ」と書いていたなぁ)。