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ゾンビランド:ダブルタップのJIZEのレビュー・感想・評価

4.0
ゾンビウイルスが蔓延する荒廃した世界を舞台に青年が自ら編み出した"32のルール"に従いゾンビ社会を生き抜いた4人組のその後が描かれるホラーコメディ映画‼︎まず大ヒットを納めた前作『ゾンビランド(2009年)』から10年後の異世界が舞台で、ジェシー・アイゼンバーグやエマ・ストーン等など筆頭に役者陣キャリア共に時代の移ろいで成長した様が堪能できる。また邦題のダブルタップは"二度撃ちして止めを刺せ(Double Tao)"に帰着する。端的に続編特有の世界観の変容より、チームの再集結に重きを置いたお祭り的な続編という所感である。良い意味でサービス精神旺盛のツボを押さえた続編。まず冒頭数分でアイゼンバーグ演づるコロンバスが異端な語り口でコノ世界で生存する掟を流暢な早口言葉で意気揚々と述べるシーンがあるが、コレまんま前作にオマージュを捧げた箇所で、時系列では10年間経ったが本質のベースは忠実に前回の既存プロットが踏襲されている。確実にパート1観たあとに続編の鑑賞を推奨したい。すなわち本作特有のゾンビ社会で"どう生きるか"が持ち味として今回でも至る所にコメディ的な頓知を被せつつも遺憾無く発揮されている。また開幕と終幕で大円団的な対ゾンビ戦での魅せ場が披露されるのもふぁん視点では歓喜できる箇所であろう。おもにタラハシーとコロンバス、ウィチタ、リトルロックが荒れ果てま世界を生き抜いた"その後"の関係性や進化する新たな刺客、新たなハリウッドスターとの珍妙な共通点など正直やってる事自体は前回の延長線上に過ぎない代物だ。が、その"変わらなさ"がクスッと笑えるシーンもあり実際映画館で観てて空気感の感じとか確実に笑いを取りにきてる箇所も散見されココまでゾンビ映画でリラックスしながら観れる作品も早々にない。本作は昨今よく生産されがちな名ばかりの続編ではなく、苦境でも愉快かつ楽観的に対象へ立ち向かう勇姿や希望をゾンビ映画の絶望的なフォーマットに被せつつも主演陣の四人組がご陽気に謳っているようでならない。

→総評(ゾンビランド♯2-10年後のお祭り友情譚)。
総じて劣化せずに軽妙洒脱な前回の空気感を周到に描き込めた優秀な続編である。特に今回いまやスターダムへ伸しあがった女優エマ・ストーンの功績がだいぶデカい。彼女の存在感ある立ち姿から表情芝居まで一本筋が通ったような女優魂は今作でもかなり健在していたように思う。そもそもミュージカル映画よりこの種のスリラー映画のほうが役柄的にも俺は彼女が映えると思ってます。またゾンビ自体の多様化も様々な映画にオマージュを被せつつ観てて観客を一切飽きさせない。また戦闘後に"噛まれたか、噛まれてないか"のお約束ねたもゾンビ映画特有のゆるい緊迫感がコメディリリーフ的に配されておもしろい。特に中盤、タラハシーとコロンバスの瓜二つの出で立ちの二人がああなるくだりはコント的で作風の緩さがいい意味で活きている。終盤で生存者が集う平和なコミュニティでの作戦が予想以上の結末に流れて地獄と化す様も、大円団の描写としてコメディ方向にガンガン攻めててゲラゲラわらえた。苦言を云えば超魅せ場的なシーンが不在な点や今回リトルロックがほぼ開幕と終幕しか活躍しない点か。世界の情勢自体も乖離されて間接的に描かれてるのでどの状態にまで世界そのものが破滅へ転じてしまったのか、みえなくもない。というよう前作の疾走感ある自虐的な雰囲気はそのままに、特にコロンバスとウィチタの進展する関係や終幕でおもしろおじさんが登場する唖然する一幕まで作品の要素は研磨されつつも笑い飛ばせる最高の続編である。
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