おはぐ

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のおはぐのレビュー・感想・評価

4.0
ルイザ・メイ・オルコット著の「若草物語」を4姉妹の次女ジョーを主人公に置き、新たな視点を加えて映画化した作品。しっかり者の長女メグ、活発で信念を曲げない次女ジョー、内気で繊細な三女ベス、人懐っこく頑固な末っ子エイミー。女性が表現者として成功することが難しい時代に、ジョーは作家になる夢を一途に追い続けていた。性別によって未来を決められてしまう人生を乗り越えようと、隣家の青年ローリーからのプロポーズにも応じず、我が道を突き進むジョーだったが…。
1949年と1994年に公開された「若草物語」を観てから本作を観賞しましたが、まるで小説を読んでいる時のような第三者目線でストーリーが進んだ過去2作とは全く異なるアプローチがなされていたと感じました。主人公を小説家志望の次女ジョーに置き、あの時代に生きた女性が強いられてきた窮屈な人生を打ち破らんとする1人の女性の強い決意がしっかりと描かれ、ラストの造本された本を抱きしめ真っ直ぐ歩く彼女に一筋の明るい未来を見出すことができる、まさにいまの時代に描かれるべき新しい「若草物語」になっていたと感じます。また、理不尽な条件を叩き付けてきた編集者のダッシュウッドにジョーが反論したり、著作権と印税の割合交渉をしたりと原作小説には存在しないシーンを組み入れることで、原作者であるオルコットが「若草物語」を出版するまでのメタフィクション的な目線が加わり、オルコットが本来描きたかったであろう4姉妹の行く末が丁寧に描き出されていたようにも思います。
ただ、三女ベスに比べ、四女エイミーがどうしても末っ子には見えないキャスティングが少し気になりました。エイミーを演じたフローレンス・ピューの演技力は申し分なく、好奇心旺盛で自由奔放な少女時代と、社会の不公正を理解しつつもその規則の中で最良の選択を取ろうともがく成人期の演じ分けが光っていました。しかし、原作本でもエイミーに共感する事柄が多く、自分の半身のように思っていたキャラクターであったため、自分の中のイメージと合わずむず痒さが残る一作となりました。
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