イマジンカイザー

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のイマジンカイザーのレビュー・感想・評価

4.3
予備知識なしからの鑑賞。ひとつの名作の完成を得るまでの、四姉妹の少女時代とその後とを徹底して比較しながらの時系列構成がひたすらにシビア。けれどそれがあるからこその結末への説得力と情感たっぷりのラストには感服せざるを得ません。

幸せだった子どもの頃と、自立して苦難の道を往く姉妹のカッティングがひたすらに息苦しくて。幸せの後に現実を突き付けられる、あるいはその逆のリフレインが少しずつ胸に突き刺さる。それぞれ夢を持って、諦めなければ道は拓くと進み続けるけれど、現実はそうは行かなくて、どこもかしこも八方塞がりなのはリアルを生きる我々も同じなのかもしれません。

特に主演の子が辿る展開はまさに一本の小説を読んでいるかのような残酷なボタンのかけ違いで(原作あるのでその通りと言われれば何ですが)、そこが塞がったから前向きに別の道を、と思ったらそちらも塞がれて行き場がない感じはいろいろ身につまされるものがあります。ヘンに演技を誇張させず、顔では笑って心で泣く感じが出ている分余計に。

その分、ゴールに向かう展開にはキチンとスジが通っていて。努力すれば報われるとか当時のジェンダー論なしに、ただただそれまでの出来事を貪欲に取り込んで創作に注ぎ込むという姿勢は見習いたいくらい。

時代史的な部分関係なしに、創作に携わる者へのエールとして受け取りました。いやはや、予想外に面白かった。