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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のmiumiuのレビュー・感想・評価

4.3
原作『若草物語』は子どもの頃児童文学として翻訳されたものを読んだ。(続編は未読)
過去に映画化されたものも、子どもの頃に確か観たはず。

原作や過去の映像化作品は、「ジョーが作家としてのアイデンティティを確立するまで」「荒唐無稽なフィクションではなく、日常生活に光を当てる」物語だと思って読んで観ていた。
一方今作は、個性や志向の異なる姉妹それぞれの生き方を描きながら、そのどれも否定せず、1人の人間の生き方として受け入れているという印象。それが良かった。

私の中には4姉妹それぞれの要素がちょっとずつある。(生き方が一番似ているのはジョー、ジョーに加えて性格的に近いのはエイミーかな)
それを否定されないのは本当に安心感に繋がる。

映画ファンの皆さまが期待して、期待どおりの高評価な今作。
実は途中まで、少女時代と現在を交互に描くスタイルに乗り切れなくて。
自分はつくづく「過去の栄光より今が大事!」な人間なんだなあと思った。
懐古趣味に見えて、中盤までは描き方がしっくり来なかった…

その気持ちが覆ったのは、家族の眩しい時間が「過去の栄光」と思いきや、姉妹それぞれの生き方を認め家族としてさらに一歩進んだラストに繋がったから。あれは泣く。
『若草物語』完成までのストーリーとしても、作家ものの作品としても秀逸だった。


もともとシアーシャ・ローナンが好きで期待して観に行った。
けど、どの役者もみんないい。特にフローレンス・ピューの存在感。

ティモシー・シャラメはキャラクターと言い、物語の中での役割・位置付けと言い、ティモシー・シャラメファンは大喜びするやつでしょ…
演技も衣装も素敵だったなあ。

4姉妹の家族はもちろん、お隣との家族ぐるみの関わり方も素敵で、過去のシーンはもはや夢物語のよう。
それを経て、最高に幸せな瞬間を「過去」ではなく物語内での「現在」に置いたのは見事な着地だった。

「レディ・バード」もラストの描き方が好きだった(途中までは地方都市の女子高生あるあるがわかりすぎ&痛すぎて辛かった笑)、私にとってのグレタ・ガーウィグ監督作品はそういう傾向にあるのかもしれない。
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