Kay

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のKayのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

とっても綺麗な映画だったけど、正直物足りなかった。というか解釈しきれなかった。

映画の構成として、小説の中と進行形の物語がかなりぐちゃぐちゃに混ざってた。最後、ベア先生を追いかけるシーンは、小説の交渉シーンが先に来ないと、ジョーが失恋して小説書いて上手くいったみたいなラブストーリー的な解釈がなされてしまうのでは。映画の後半戦は特に、三角関係の恋愛ストーリー要素が強くて、ジョーがただただ結婚を拒む女性みたいになってしまっていた。ローリーもただのだらしない系男子っていうキャラに見えて、4姉妹との対比がはっきりしなかった。

あとは、女性の葛藤(少女がlittle womenになるプロセス)に関わる伏線が少なかった。個人的には三女の死の意味がもっとこの物語の鍵になるような描き方でも良かったと思う。ベスは4姉妹の中で最も当時の理想の女性像に近い人物だった。従順で大人しくて人のために尽くすことができるキャラクター。そんな彼女がwomanになる前に死ぬということは、女性の運命(結婚)を免れた唯一の人物、つまりジョーの望む姿と重なる。ベスの死後、ジョーが小説を書き、ベア先生と結ばれる流れになるのは、ジョーはベスを自分と重ね燃やしたからである(過去に書いた小説を燃やす行為によって)。ジョーの理想はそこで捨てられ、ベスの身代わりとして生きていくことになった(生きていくしかないようにも思えるが)。little womenになる残酷さがメインメッセージであったはず。(映画ではそこまで描くつもりはなかったのかも)

物足りなさを感じたのは、やっぱり少女からlittle womenになるプロセスの残酷さが伝わりにくかったからかも。過去と現在が行き来した構成だったから、その流れがなかった。エイミーとローリーの結婚(ローリーに告白された時かも)とベスの死が、ジョーがlittle womenになった瞬間だったけど、"I'm so lonly." という言葉に集約されすぎていたな。もっと丁寧に時間経過を追えばそんな一言では片付かないはず。ジョーは自分らしくいられる少女のままでいたかったのだ。少女のまま死んだベスとの関係性の方が私は興味がある。エイミーとジョーの対比も好きだけど。

メグについては、どうしてエマワトソンがメグ役を引き受けたのか疑問に思ってたけど、未だに謎。メグはジョーに似た性格だけどジョーと違って「演じて」いる。周りが羨む姿の自分を演じている。もしかしたら、エマも女優である世間のイメージのエマを「演じている」ことと重ねたかったのか、、、?もしそうだったら、彼女が一番「若草物語」を理解していることになる。そうだったらいいな!笑
Kay

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