MinaMi

ディリリとパリの時間旅行のMinaMiのレビュー・感想・評価

ディリリとパリの時間旅行(2018年製作の映画)
3.6
美しさに心を打たれて涙が出た。ディズニーランドのモデルになったともいわれる1900年のパリ万博の時代、ニューカレドニアからやって来た混血の少女ディリリ。会う人毎に"Je suis heureuse de vous rencontre."と今ではめっきり聞かなくなった礼儀正しい挨拶をする利発で可愛いディリリは、郵便配達員の青年オレルとともにパリで起きている少女誘拐事件を解決しようと奔走する。
実際の写真をモンタージュした最高に美しいパリの景色と、次々に登場する有名人達。「あ、あの人だ!」「あれ、この人誰だっけ?」「この人、こんな顔なんだ!」が実に楽しい。
オスロ監督自身も大好きだと語っていたロートレックは友達になりたいと思わせる魅力に溢れているし、さりげなく登場するサティの演奏に合わせて踊るショコラもクールでかっこいい。『ミッドナイト・イン・パリ』しかり、もしもこの時代に時間旅行が出来たならと想像しながら夢のような空間に浸れる。
監督は子どものために作品を作っていると考えているだけに胸踊る冒険はワクワクするものの、簡略化したせいかストーリーにおいて気になるところもないではなかった。しかし「自然であることはとても良いが、崇高であることはさらに素晴らしい」とサラ・ベルナールが本作の中で語るように、不思議さや不自然さが現実を超えた崇高な感動を導くのであれば、そちらを選ぶべきなのかもしれない。
本作における悪党共のやり口は、美しいパリとのコントラストが激しいだけに非常に恐ろしいが、現代においてもインドやシリアをはじめ女性や弱者がこれに近い状況に置かれている社会はまだ多い。
弱い人々を助けるために行動するディリリのように、我々大人達も
行動しなくてはならない。
街の隅には「これもパリだ」と語られる貧しい人々が暮らしている。浮浪者に脅され怖い思いをしながらも「いつか貧しい人の役に立ちたい」と呟く少女に、私達は力強い勇気をもらう。

・脚本 6/10
・演技 6/10
・演出 8.5/10
・音楽 8.5/10
総合点 29/40
MinaMi

MinaMi