TOYOSU

恐怖の報酬 オリジナル完全版のTOYOSUのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

最高に面白かった。
前半人物描写、後半旅、という構成が面白い。もっと早めに旅が始まるのかと思ってたから、出発した時は楽しさが倍増。
まずど頭の遺跡の怒り顔が不穏。そして世界を股に掛ける感じが不穏でワクワク。殺し屋のシーンもつかみとして最高。エルサレムでテロをする描写は、長回しでバスを捉えつつ突然爆発するので非常に驚いたし、残酷だなぁと。。。そんでもってパリで没落する銀行家。悪事がバレる時は非常に静かに始まり、徐々に劇的になっていく。相手方の御曹司?が自殺する構図はテロと似ているなと。フリードキンの、人間を広いショットで捉えて、焦りや困惑さを演出する手法が大好き。
出発の直前、ナチの人が殺されてて急遽メンバー変更しなきゃ行けない展開も面白い。『新幹線大爆破』でゴロツキを仲間にしないといけないのを思い出した。よく考えてみれば、トラック輸送が映画のメインなのではなくて、堕ちぶれた男たちが追い込まれていく話なので、ミットポイントから度が始まるのも納得。トラックが爆発物を積んでいると言うだけで、橋・おちょくる現地人・吊り橋・沼・植物・ゲリラ、などあらゆる要素が緊張感を産んでいるのが面白い。ちゃんと考えが張り巡らされてる。特に、吊り橋のシーンと、木を爆破させるシーンが好み。
パリの銀行家が爆死するシーンの手前に、パレスチナ人と和解する前降りが絶妙。「あっ」という間のミスが命取りで、最後の言葉を発するまもなく死んでしまう。因果応報にも見えるし、安らかにも見える。そんな2人を確認して、自分の身を案じているのか、若干の友情があったのか分からないニュアンスもグッときた。血が時計を包んでいく演出もさすが。ゲリラに襲われるシーンは、言語によってゲリラが本音と建前を使い分けているのが印象的で怖い。そして、暗闇の爆煙に死にそうになりながらニトロを届ける主人公。勝利のあとこざっぱりした主人公との会話で、石油会社のやつも転職を考えているのが記憶に残ってる。「先々は誰にも分からない」これは作品に連なってるテーマだと思う(オチも含めて)。主人公がじっとこちら側を見てくるショットはどんな意味があったんだろう。
1番好きなのはオチ。最近ちいかわ島編を読んだので、なんだか重ねてしまった笑。呆然とダンスを楽しむ主人公の前降りから、ヌルッとカメラを引いてtaxiが到着する。そして街の引きのショットで銃声。本当に完璧な終わり方。見終わったあとに気付いたけど、パリ銀行マンの手紙は、結局出されずじまいだな。。。物悲しい。。
カメラワークで言うと、車支店でのpovとか、山脈の空撮?っぽいのが印象的。感情の不安定さ、恐怖に怯える心理状態を、カメラワークが上手く強調してた。構図も素晴らしい。
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