スクリーン1
昔劇場で観たのは30分も勝手にカットされたバージョン。ようやくウィリアム・フリードキンが望むオリジナルが観られた。
それぞれの事情で国を追われ、最果ての地でその日暮らしの絶望的な生活をしている4人の男たち。演じるロイ・シャイダー 、ブルーノ・クレメル、フランシスコ・ラバル、アミドゥの汗と汚れた顔の存在感。
この画の迫力はどうしたことだろう。当時のフリードキンはキャリアの絶頂期だった。この作品も才気とエネルギーがあふれだしている。今にも崩れ落ちそうな道や大雨の川に架かる吊り橋をトラックのエンジンが悲鳴をあげるように進む異様な緊迫。前半のそれぞれの人物の過去が描かれる様も同様に迫力があり、彼らがどん詰まりの生活から脱け出すため、高額な報酬を手にいれようと、危険極まりない仕事を引き受ける必然性もしっかり描かれている。
この作品は世に出るタイミングが不運で北米でヒットしなかったがために、監督の意志とは関係なく30分もカットされたバージョンが世界で公開され、作品の正しい評価がされなかった。オリジナルを復活させるのにはフリードキン監督の相当な努力が必要だったらしい。僕ら映画ファンはオリジナルを求めるが、映画はそれなりの資金が必要であり、製作会社の無粋な判断でこういう不運な目に遭う作品も出てきてしまう(製作会社の事情でカットされて事態が好転したことはほとんどないが、、、)。今回、監督の意志が通ったバージョンを観ることができてほんとによかった。何十年経ってんだよ、ホントに。
