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ブルー・マインドのFMLのレビュー・感想・評価

ブルー・マインド(2017年製作の映画)
5.0
美しくも鬱くしい限りなく透明に近い青(ブルー)

白は黒に黒は白にはどれだけがんばってもなれず
赤が黄色に黄色が赤になることはけしてない

けど透明なら何にでもなれる
太陽に照らされて燦々と煌めき
月明かりに照らされ優雅に輝く
逆にいえば何かに照らされてないと、何かと交わらないと何にもなれないということ

何をしても満たされず常に焦燥感とも孤独感ともとれない空虚がつきまとって
楽しいとか、嬉しいとか苦しいとか何もかもが底に穴の空いた水槽のようにこぼれ落ちていく
それでもどうにか、水の中の泡のように空を目指し、水のない河を泳ぐように必死にもがく

この感覚は、わからない人にはどう説明してもわからないと思うし、わからない方がいいとも思う
楽しい人生を送るなら、わからなくていいこともある
自分はあいにくわかりすぎるほどわかってしまう
"リリィ・シュシュのすべて"を観ても同じ感覚を味わうことができる

サカナ(人間)
狭い水槽の中で泳ぐサカナ(人間)
広い海を呆然と泳ぐサカナ(人間)
網にとらわれ食われるサカナ(人間)
サカナ(人間)に食われるサカナ(人間)

とどのつまり、どうあがいても幸せになれない人生もあるということ
痛みを苦しみを味わい続けながら生きるなら、永遠の安らかな海に身を投げるのも悪くないかもしれない

こういう、果てしなく鬱な映画を観た後に、キャストのインスタとかチェックしたら、あーよかった、映画だけやったって安心するよね
笑顔の写真見て、実際はちゃんと明るいのね、みたいな。笑
そう、メイキングとか観たくなる映画って壮大なアクションよりもこういう地味な人間ドラマだったりする
監督が女性だからこそ、揺れ動く女心みたいなものをめちゃくちゃリアルに描けてるのか、と納得
おそらくだけど、女同士の"本物の絆"って男とは比べ物にならないぐらい強固で分厚いんだろうな、と思う
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