ピョンちゃん

Girl/ガールのピョンちゃんのレビュー・感想・評価

Girl/ガール(2018年製作の映画)
4.0
『Close』の脚本・監督ルーカス・ドンの前作にして長編デビュー作。バレリーナを夢見るトランスの女の子の話と聞いて、逆境を跳ね除けて成功をつかんで最後はハッピーみたいなのを一瞬想像したけれど、当然そんな安直でありきたりな話ではなかった。心と体の不一致に悩む主人公の心理描写に焦点が当てられていて、バレエはむしろ添え物だった。思春期なんてただでさえ悩み多き年頃なのに、自分の体が自らの意に反して成長してしまうのはどれほど苦しかったことだろう。周囲の理解もあってあからさまにヘイトをぶつける人などいない。それだけに女子会のシーンはキツかった。結局異物扱いなんだと。ラストの展開はさらに輪をかけてキツくて「やめろ、やめてくれ」と心の中で何度も叫んでしまった。トランス当事者の抱く苦しみは想像以上に大きいのだと思い知った。これは観る者も無傷ではいられない作品。胸を掻きむしられました。
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