たく

Girl/ガールのたくのレビュー・感想・評価

Girl/ガール(2018年製作の映画)
3.5
観ていてこんな辛い映画も珍しい。

バレリーナを目指すララが高名なバレエ学校に転校して厳しいレッスンを受け続けるシーンと、トランスジェンダーとして性転換手術に向けて準備を進めていく様子を並行して見せていくんだけど、まあとにかく観てて胃が痛くなる。

素質はあるもののバレエの専門的な訓練を受けてこなかったララが、足の痛みで周りについて行くのがやっとなんだよね。この足がだんだん耐えられなくなっていく様子がほんと辛い。

もう一つの性の葛藤がまた重くて、学校の生徒に奇異の目でジロジロ見られながら孤独にレッスンを続ける様子と、ホルモン治療の効果がなかなか出なくて何度も鏡で胸の変化を確認するシーンが泣けてくる。あそこの膨らみを抑えるためにテープを使うのがまた痛々しい。
辛い本音を周りに言えなくてどんどん自分を追い込んでいくのね。
楽しみにしてた合宿で同僚たちにアソコを見せてよって詰め寄られるシーンに「父の秘密」思い出した。この映画も凄絶なイジメで胸糞悪かったなー。

そうこうしてるうちに、予告編にあった「映画史上最もエモーショナルなクライマックス」がやって来る。
‥いやいやエモーショナルどころの騒ぎじゃないから!

究極の外面コンプレックスで、どこにでもいる思春期の少女のごく当たり前の悩みなんだっていうのが題名の意味するところだろうね。
内面と外面を一致させて本当の自分を生きたいっていうのが「リリーのすべて」に通づるし、身近に支える存在がいるところも同じだった。

ララを演じたヴィクトール・ポルスターが服を着てると少女にしか見えないのがすごい。「ナチュラル・ウーマン」と比べて違和感なく女性に見えたね。
たく

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