ざくろ

グリーンブックのざくろのネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

初見では人種問題や差別が印象に残ったが、2回目(2021.7.9)はそれを踏まえた登場人物たちの心境の変化や関係性に泣いた。

鑑賞中も観賞後も考えさせられる。
日本にも部落差別やバイレイシャル、在日韓国人・朝鮮人など...人種人権問題は過去にも現在にもたくさんある。が、黒人(Black)差別問題はまた別だと思う。日本人には感覚的に解りにくいほど根強く、暗く現在進行形で起きている。(つい最近まで警察による射殺が話題だった)そして他にも、作品の中に矛盾やおかしさに気づかせる台詞や描写がたくさん描かれているような気がする...

シャーリーは自分の人種、性、生い立ちについて、毅然と抵抗しているように見えて、実は囚われている。頑ななまでの拘りや固執は、プライドではなく彼自身を守るために築かれた壁。それを破るきっかけだったのが、彼自身の勇気とトニーとの出会いだったんだな。

後半からは、特に心に刺さる場面が多かった。
1度目に道に迷ったとき、一番若そうな警官のシャーリーへの対応が、他2人よりも少し柔らかいような気がした。世代の変化なのか、ドロレスのように世論に流されない人もいる描写なのか。
そしてオレンジバードでは、彼の演奏styleは守りつつ、心から音楽を楽しむことで、作っていた壁を乗り越えたような笑顔にホロリ。からの本物のgunにクスッと笑った。
2度目に警官に止められた時は涙が溢れた。これだから人間って世界って美しいんだな...温かいなぁと染みた。
別れがあっさりだなぁ...と思いきや、やはりドクは変わったんだなぁと。一度人といる幸せを味わえば、寂しさって余計に、耐えられないほど強く感じる。それこそドクを動かすほどに。本当に素敵な変化だ(泣)

お気に入りは"窓からの骨ぽい"、何度か登場した"手紙の添削"、ラストの"シャンパン持ってメリークリスマス"シーン。シャーリーが笑顔になったり、トニーと打ち解け始めてから、絆の深まりが感じられる。

トニーの何気ない言葉、"寂しい時は、自分から先に手を打たなくちゃ"と、どんな音楽を弾こうが彼は彼だ、という言い切る姿勢に、どうしても受け身がちになってしまう私には効いた。

そう簡単にはいかないのも勇気や現実というものだろうが、もしもあの支配人も伝統を破る勇気を出していたら...また、何かの切っ掛けになったかもしれない。(店の存亡の危機も招くかもしれないが)

60年代と比べたら(依然、年代や国によって根強く残っているが)性や人種について考える場面や関心を持つことが増え、真剣に向き合う時代へと変わりつつあるのではないだろうか。
1人の勇気から始まり、関わる様々な影響を与えながら、やがては次の勇気に繋がり、轍が出来て世界は変わっていくのだなと勇気づけられた映画。

最後に、つい先日観たばかりのアラゴルン役の若く精悍なイメージしかなかったためか、Viggo Mortensenの演技にびっくりだった。
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