イケイケ池崎

グリーンブックのイケイケ池崎のレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
3.9
欧米人による白人至上主義の価値基準は日本人である我々にも内面化している。多様性が謳われる現代においても、それを頭では理解しつつ、自覚的かつ意識的に差別と向き合いながら行動と結びつけている人はどれくらいいるのだろうか。

この映画のトニーも差別に対して無自覚な人間だ。だが、黒人ピアニストであるドクターと長い時間を過ごすことにより、そうした差別の実態を目の当たりにすることになる。

直接的な黒人差別はもちろん、意図的に刷り込まれているキリスト教的な描写にも注目したい。ここにはアメリカ社会における特権がメタファーとして描かれている。

トニーの姿を自分と重ねてこの映画を見ると、自分自身の愚かでグロテスクな行動が可視化される。

分断が加速する世界において、いまどんなアクションが必要なのか、どんな意識が必要なのか、そんな問いかけをこの映画ではしているような気がした。
イケイケ池崎

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