kaitomo

グリーンブックのkaitomoのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.5
最近、私の敬愛するサム・クックのドキュメンタリーを観たが、ドン・シャーリーもまたそれに近い闘いをしていた。サムは黒人席を隅っこにおいやるようなところでの演奏は断固拒否していたらしい。
彼らのようなトップクラスの才能を持った成功者ですら安穏と過ごせるわけでなく、スターだからこそやらねばならぬことがあるという想いがあった。何もしてなくても殴られたり逮捕されたりする南部では特に、その行動は命がけと行っても過言ではないだろう。
本作は、そんな差別の苦難をしっかり描きながらも、がさつ男トニーと、それと正反対に品格のあるシャーリーのやりとりが軽妙で楽しい。
黒人の触れたコップを捨てる程に差別的な男ではあったトニーの変わり身の早さは安易かな、とも思ったがトニーは裏表のない単純野郎だったので、それほど不思議ではなかった。
時に教師と生徒みたいになったりしながら積み上がっていく、二人の関係性がとて良かった。演奏シーンもかっこ良いし、最初から最後まで面白い。ラストも完璧。
kaitomo

kaitomo