マクガフィン

グリーンブックのマクガフィンのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
3.4
シリアスになりがちなテーマとは真逆な明るいテイストを基軸にしていることが好感で、ロードムービーならではの凸凹コンビの相性の良さや、風物の移ろいと一緒に自己省察のような成長や絆が育んでいく関係性が清々しくも。

扱いにくい人種差別や偏見をコミカルで中和する演出が上手く、タイムリーなプラスチック製ストロー問題も然り気なく取り入れたりする、きめ細やかなエピソードの丁寧な積み重ねが冴える。米南部をツアーする理由だけでなく、運転手を白人にした理由も分かるシークエンスも良い。

特に演奏後の白人の観衆の拍手に答える情念が詰まったギコチナイ笑顔が印象的で、ステージ上では喝采を浴びるが、それ以外では黒人であるがために人種差別を受けることの狭間をメタ的に描写したことが秀逸に。

全然悪くはないのだが、アカデミー賞の作品賞受賞は一昨年の『ムーンライト』同様に、人種差別による逆ホームタウンディシジョンのようにも感じる。また、鑑賞後に監督が『ジム・キャリーはMr.ダマー』のピーター・ファレリーと知り、『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ以上の衝撃に。異色監督の本領発揮もアカデミー賞のトレンドに。