おっちゃん

グリーンブックのおっちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます



すみません
ケンタッキーください、バケツで!


時は今から60年ほど前。
ドク(マハーシャラ・アリ)は黒人ピアニスト。天才ピアニストとして高貴な位置にいて、自らもとてもインテリ。

トニー(ヴィゴ・モーテンセン)は無学でガサツだけど世渡り上手な愛され屋。

二人はトニーがドクのコンサートツアーの運転手として雇われて出会い、“グリーンブック”を片手に旅は始まる。


黒人差別が強く残る中、二人の心がいかにして打ち解けていくか。そんな二人を見る人々の目。
場面一つ一つに心打たれた。




この物語で印象的だったのは二人の性格の描写でした。

いつも気高くまっすぐで、凛としたドクは、ほんとに心優しくて正しい。
作品を通して一環して折れずに立つドクの姿に何度涙しただろう。
雨の中車を降りたシーンは忘れられない。

ガサツで陽気なトニー、運転中、ついドクの方を振り向いて話す。人格が表されるかのようだった。

フライドチキンの骨はこうするんだ!
凄い好きなシーンだった、劇場もほんのり笑いに包まれていた。




ドクは行く先々で、表向きは天才ピアニストとして扱われるけれども、彼を見たい人たちは彼をピアニストとしてしか見ない。
差別意識が強く残る南部を、あえて旅すると決めたドク。(これ、警察官のパトカーのシーンでも再度表現されてましたね。今気づいた〜、南部では引き止められ、降りろといわれるけど、北部へ近づくとメリークリスマスなんだもの…
それとも、こういう警官もいるっていうシンプルなことだったのかなぁ?わからないや←)
ドクはどこまで心が強いんだろう。どれだけ我慢してきたのだろう。
彼は誰に対しても同じ心で接しているのに、そう出来ないのは、しきたりから抜け出せない人たちの方だ。


一方で、トニーも闇の中にいる。
彼は必死に働いて、差別はされずとも貧相な暮らしに闇を感じていた。本当はこんな生活ではないはずだと。
トニーは、ドクは本当の差別を知らないという。高貴な位置にいて、ほんとうの黒人の闇感じたことがあるか?彼らと同じ飯を食べたことがあるのか?と。農場をバックにしたシーンが思い浮かぶ…
すごく対比して描かれてましたね。



終盤で、トニーが仕事仲間と偶然出会い、昔のようにドクをけなしたけれど、ドクが言葉をわかっていたシーン

ドクが私は私のピアノを弾く、と言っていたけど、とあるバーで暴行されてトニーに助けられ、その後に初めて弾くジャズのシーン


そんな旅を経て千秋楽を迎えた演奏でドクは、
トニー。君がいうなら弾こう という。
クソ喰らえ!帰るぞ!って最高にスカッとしましたね!
(※こんな言葉は使われておりません笑)


ラストのクリスマス。運転席。
笑顔とシャンパン。


ドクが代弁したドロレスへの手紙は、きっとぐちゃぐちゃの手紙を何度も見て、家族への思いが伝わっていたから代弁したんですよね。
そしてそれをドロレスも見抜いていた。二人の仲がうまく行っているとの報告にも取れるし、とても安心したでしょう…


なんといえばいいかわからないくらい、いい映画だった。なんか表現の仕方もすごく好き。
直接的に描写されてなくても、散りばめられた言葉がたくさん落ちています。
いい映画だった〜で済ましたくないくらい。たくさんの人に見てほしい!