taku

グリーンブックのtakuのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
3.5
バディものとしてや、ロードムービーなんかとしては出色の作品だと思う。ファレリーあっぱれ。

ニューヨークからより保守的な南部へと旅行をするという実話を元にしているだけあって、人種差別がロードムービーに必須の障壁となって現れる。「人種差別という障壁を通した主人公の成長」を描いた傑作といっていい。

それだけでよかった。本作は白人の空想、メルヘンであって、物語は映画の中だけで完結すればいい。だが、白人が主体のハリウッド映画の権威、他ならぬアカデミーが本作を大々的に評価してしまったので、そうはいかなくなった。
単純に映画の出来を評価するならまだしも、仮に本作を「黒人映画」や「人種差別を扱った映画」として評価するのであれば、その資格があるのはWASPでも、ましてや我々外野でもなく、被害者たる黒人だけだ。
本作を観て「人種差別は酷かったんだね」なんて言うのは、「私個人に差別意識はございませんが、この土地のしきたりなんです」とか言っていたあいつと本質は変わらない気がする。この映画はあくまで白人による白人のための映画なのだから。
taku

taku