Kaiki

グリーンブックのKaikiのネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

黒人の天才ピアニストが、黒人にとっては差別を受けやすく危険である南部にツアーを敢行するために、ナイトクラブの用心棒として腕が立つイタリア系の白人をドライバーとして雇うが、ふたりの境遇は極反対。黒人差別が大きく絡む様々なトラブルに立ち向かいながら旅を進めるロードムービー。

この映画の良い所は主人公トニーが無教養の白人でどちらかと言うと元はレイシスト側であり、旅の道中で黒人差別がいかに偏っていてクソであるかを目の当たりにし徐々に学んでいく所だと思う。つまり、誰しももともとは何も知らなくて無垢であり、生まれ育った環境や経験で思想や偏見が生まれ根付いていき、そしてそれは身を持って体験したり知ることでがらっと変えることもできること。それを最初から最後まで一貫して示していると思う。

ドクターシャーリーはただの教養ある天才ピアニストってだけじゃなくて、黒人故の社会の中での自分の置かれる立場を経験を持って理解した上で自分の正義と価値観をぶれずに備えていて、おもしろ半分に話すようなトニーに全力で諭しまくる。それにいらいらしつつもトニーは学んでいくしお互いの信頼を徐々に生んでいく姿に惹かれる。

ケンタッキーのシーンは特に最高。ああいうドクみたいなインテリキャラが急に不良じみたことを満面の笑みでやるのは痛快すぎる。だけど、一般ゴミのポイ捨てはやはり許せなくて急に真顔になるっていう。イイ。

ライブバーでのセッションシーン、クラシックピアニストがおっさんに紛れて即興ブルースにあんなパッション溢れるようなパフォーマンスできるんだっていう。

トニーの奥さんみたいな120点な女性に憧れる。綺麗だし、差別なく誰にでも素敵に振る舞うし、家族思いで、旦那の手紙を自慢し回るほど旦那思い。綺麗だし。(大事)

最後はレコードかけながら盛大なクリスマスディナーと共にハッピームードで幕を閉じる。なんて良い映画なんだ。
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