つるみん

PTUのつるみんのレビュー・感想・評価

PTU(2003年製作の映画)
3.7
【無事に家に帰ること】

香港の夜を舞台に、警察内の3つの組織がそれぞれ事件を追っていく中で、最終的に1カ所に辿り着くというサスペンス・アクション。

監督はジョニー・トー。
彼特有のノワール感漂う作品となっていて、終盤の点と点が繋がる辺りは流石といったところ。しかし『エグザイル/絆』や『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』『ザ・ミッション/悲情の掟』等のような口に出さなくても分かる男の熱い友情というものは本作にはない。そこを求める人にとっては、ジョニー・トー史上最高傑作!とはならないだろう。

ただ、偶然が重なるあまりにも出来過ぎた展開は非常に映画的であり、ノワールものでありながらコメディ要素も入れ込む余裕は、やはりあの終盤を用意していたからだろう。事件の発端があまりにもコメディ的なのに対し、しっかりノワールで固め、着地するジョニー・トーの力技を見せつけられた感じがする。警察し尽くされたカメラワークも健在。

たしかに彼の他作品と比べると物足りなさはあるものの、しっかり楽しめるジョニー・トー作品なのは間違いない。
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