阪本嘉一好子

幻影師アイゼンハイムの阪本嘉一好子のネタバレレビュー・内容・結末

幻影師アイゼンハイム(2006年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

『私を消えさせて』というソフィの願いから、 15年後、ウィーンに戻ってきた。
消えることができるようになって戻ってきたと後で分かったが。

私もウィーンの警察になって、 この謎を一緒に解きたいと思った。警部(ポール・エドワード・バレンタイン・ジアマッティ)が言ったように 蝶々がハンカチを持って飛ぶところを解明したい。 この謎を、警部のように、私も同じことを言いたい。

19世期のウィーン(プラハでの撮影らしい。こんな古い劇場が残っているんだね。)の街の雰囲気、まだ手がつけられていない自然、そして、科学やコンピューターの世界ではない、神秘的な世界がある。
イルージョンの世界。どこに本当の答えがあるんだろう? 果たして、本当のことは存在するのか?不思議な、自分を幻想の世界に持っていってくれる映画。

社会正義の映画やドキュメンタリーが好きな私は、この映画をみて、目が覚めた。 インタビューでエドワードノートンがこういう幻影師のいい映画がないと言っていたが、まさにこれが、いい映画なんだと思った。現実を離れて、私に夢を見せてくれるから。

また映画に戻るが、見えるところにないから、トリック(イルージョン)を見逃しちゃいそうな映画。ちょっとヒントをくれないかと何度も思った。でも、想像力を働かさないと、みえないんだね。見えるところにないからね。困っちゃった。

この映画でいくつか気になった言葉や動きがある。それに、それらがその後のストーリーの中で重要な意味や関連性をもたらしていることに気づいた。

前述した『私を消えさせて』というソフィの願いも消してあげたし。
それに、ソフィアが死んだと聞いたときのアイゼンハイムの驚愕の少なさ。 顔の表情に悲しみが十分でていないと思った。(ノートンがインタビューで当時の人々は感情を今のように直接出さなかったから、これに努力したと。そうか???)
アイゼンハイムがステージで 『一緒にいたいだけto be with her.』と 警部にいうときに警部は同情心を心からから表しているようにみえた。これも、警部がアイゼンハイムを理解してあげていると思った。実際は反体制派なんだとも思った。

これらで、ストーリーの動きを掴むことができるんだが、警部が子供から渡された『オレンジの木』の本が本物のトリックの本でトリックがを理解できたとなっているが?
みえないところを見ることができなかったから、このトリックにまんまと私ははまってしまった。Faker is plaintiff, (orange tree) 見たものはトリックで幻想だと。見たもの以外に真実があるということ。

アイゼンハイムがソフィーに暖炉のそばで、『本当に僕といっしょに行きたい?』と聞いてかれは、頷きながら考えているようだった。ここで二人は生きて一緒になる答えを出している。
薬をボストンバックに入れて、ソフィーに渡すが私はこのシーンを見逃していた。
スーツケースの中はなにと警部は聞いているが、私も分からなかった。
結婚をキャンセル!愛のための計画にまっしぐら。
アイゼンハイムは懐中時計をみて時間を気にしているらしいし。きっとなにかが?ここにもヒントがある。
医者が絡んでいたし、医者が警部にソフィーを検死させなかったところにもヒントがあるが気づかなかった。

好きなシーン:
ある市民がプリンスを調べよと警部に言うところは力強い。当時の市民のパワーが見られる箇所だと思う。

警部の役割はこの話を美談にしたし、彼は戸惑いながらも仕事をまっとうして権力に負けなかったのが良かった。

『I will make you disappear』 という言葉で、ソフィーはアイゼンハイムがかっての恋人だったことを確信する。この時振り返るシーンが好き。

ちょっとロミオとジュリエットのようだけど、この二人は幻影の世界では死んだようだが、人々はこのトリックにひっかかった。警部は鋭くて心のあるシャーロックホームズ。最後、問題解決した彼はそれで自己満足した。

蛇足
個人的に、この音楽に惚れた。どうでもいいと思っていたが、音楽に引き込まれた。幻想的な音楽に。
https://www.youtube.com/watch?v=f2LvFBlQi5U

ポール・エドワード・バレンタイン・ジアマッティはエドワードノートンの大学での先輩だと書いてあった。二人の雰囲気が気に入った。