阪本嘉一好子

PLAN 75の阪本嘉一好子のレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
4.7
実は有料配信を全く持っていないので、この映画が見たくても全くチャンスがなかった。しかし、チャンス到来。友達である、フランス語の教師が一緒に観ようと誘ってくれた。映画の最初からプラン75が「国会」で可決されたと。私は「閣議決定」じゃないんだねと心の中で思った。その時、友達が、『国家のために死ぬことを誇りにしている』と。だから、プラン75はその一環だと?国家のために死ぬこと?「えええ!!!なんだ」それと内心思った。そしたら友達は 「世界では(日本は)そう知られている』と。そして、神風特攻隊や会社員の(責任をとって)自殺など例にとって、私を納得させようとした。

じゃあ、若者が死ぬのはなぜだ?
世界からも注目されている、政府のご都合主義に従う「従順な」国民? 政府の言いなりになって自分を見失っている? オイオイオイ!
国会の決議はあなた個人の決意?

 
友達はまた、「先進国では若者の出産率が低いから、高齢者はこうなっていくんだよ」と。
昔の姥捨山だね。楢山節考」(今村昌平監督)を思い出したよ。でも、楢山節考」(今村昌平監督)には親子の愛があったよね。

「子供がいたって寂しいもんだ。」といって自殺をした高齢者がいるが、自分の寂しさを子供の言動行動と比べるのはもってのほかだねと思った。時々、子供がいるから幸せねと言う人がいるが、私の存在意義は子供のあるなしと関係ないと思う。関係あれば、皆さんが子供を生もうとすると思うよ。人との比較や人の恩恵で自分がどうなるか決めるのはちょっと理解し難いねえ。自分をまず見つめて分析してほしいね。

主役(倍賞千恵子)が生活保護をもらいに行きたくても躊躇っているシーンはジーンと来たね。また、その彼女の躊躇いを知ってか、いっぱいのうどんを持ってくれる人がいることも。主役のような人に生活保護を与えなきゃ誰に与えるのと思うが、本人が躊躇する。でも、身寄りがないなら、誰にも遠慮しないで生活保護がもらえると思えるが....彼女自身が許さない。

結局時間がなくて、全部見ることができなかったが、友達は全部見たようだ。彼女に、「75歳以上になって、プラン75を使う」と聞いてみた。
返事は「健康じゃなかったらそう思うと、でも健康だったらノー」と答えた。
彼女は62歳で独身で、まだ現役の先生だし、収入は無くなっても、年金は月に40万はあるだろうし、それに、確定拠出年金もあり、子供は独立して親とは住んでいないが、交流しているし.....精神的にも安定しているようだし.....健康、収入面ではプラン75を使おうとは思わないが、高齢化によって不健康になったら、考えると言うことだと思う。しかし、この世は彼女のように恵まれた環境の人ばかりではない。社会には、この映画に出たような立場の高齢者が存在するのだ。この高齢者はお荷物になったから少子高齢化対策として、国がプラン75を実施するという世の中では困る。コロナワクチンの接種で世界に『呉越同舟』の国だと証明したし、全体主義にはいりいやすい国だからね。批判的思考能力を伸ばす教育を。

現在、裕福な高齢者に対する、老人施設、旅行などで、経済の活性化を狙っているようだが、この映画の主人公のような一生懸命働いている薄給の高齢者にはどんなプランがあるのだろうか?お決まりの「自助」の一言では困るなあ。