鳥マン

ジョーカーの鳥マンのネタバレレビュー・内容・結末

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

まずこの映画を見る上で意識しないといけないのは、アーサーが精神病者であること。少しアーサーに対し辛辣な目線で書いてみようと思う。

まずアーサーが壊れていったのは周りの環境が変わったからだと思う。ピエロの仕事を失ったこと、同僚の裏切りなどだ。逆に言えばこれらのことが無ければコメディアンに憧れを持ちながらも生活を続けて寿命で死んでいたと思う。正直ここらへんの変化はあまりにも早すぎてよく分からなかった。しかしアーサーの人生が狂った1番大きな要因は銃だと思う。アーサーは自分自身のジョークに自信を持っており、周りから認めて貰いたい人であった。加えて笑顔の病気のせいで周りから見下される存在であったため、下克上したかったのではないかと思う。その武器となったのが銃だった。
ピエロの仕事を解雇→地下鉄での殺人に繋がる訳だが、おそらくこの時点でアーサーの標的は自分より上の存在であれば誰でも良かったのかもしれない。殺人を通して自分の価値を確認出来るという点ではタクシードライバーのトラヴィスと似通ったものを感じる。
しかしアーサーには地下鉄の射殺の際、発砲に至らなかったケースも考えられる。なぜかというと地下鉄の3人組にボコられる直前、冒頭近くのバスのシーンで黒人女性に見せていた、自分の病気に関するカードを取り出そうとするような素振りを取ったからである。もしカードを見せていたら3人組サラリーマン達もアーサーをボコらずにいたかもしれない。アーサー自身もカードを見せようとしたことを考えると、危機を上手く逃れようとしていたと考えられ、誰でもいいから殺したいというほど危険な考えほど至っていなかったのかもしれない。
それでもあの3人組を殺した後のアーサーの無敵の人ぶりを見るとやはり下克上の意思があったように思える。自分より上の存在に対抗出来ることを知ったからか、自分の行動に賛同してくれる人が多いことを知ったからかは分からないが自分の存在に価値を覚え始める。カウンセラーに対しても自分の存在価値について話し始めたらしている。ここらへんでアーサーは調子付いたのか、同じアパートの黒人女性と良い感じになる妄想をする。どこからどこまでが妄想なのかは難しいがアーサーは妄想の中で大抵他人に認められたがちだと思ったので恐らく


要するにアーサーは精神病を患った狂人である。確かにゴッサムは腐敗して様々な問題があるもののアーサー自身にも問題ありなのだ。ここで一旦ダークナイトのジョーカーについて振り返ってみよう。ダークナイトのジョーカーの恐ろしさは、相手に苦痛や狂気を見せることで相手を悪に染めることである。これを今回の作品に当てはめてみると、ある程度筋の通ったストーリーを見せて視聴者に共感させ、納得させてしまうということだ。もう一度言うがアーサーの思考は色々とバグってる可能性がある。それを見て「みんながこうなる可能性がある」と言ってしまうことが狂気なのではないかと思う。正直この映画は妄想か現実かを意識し始めると、あまり感情移入出来なくなり集中して見れない。それは俺が良い気分の時に見たからかもしれない。
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