このレビューはネタバレを含みます
アーサーが感じる不条理、恥、憎しみ、寂しさ。
事あるごとに生きづらさ、窮屈さを感じる自分には、共感できる部分が多かった。
始終、暗く重い。でも美しい。
扱っているテーマは今の社会でも起こっているものだ。
身分の違い、貧富の格差、身体や生まれ、環境の違い。それは社会や国のせい？それとも自分のせい？
何が正しくて何が間違っているか、あるいはこれが原因だと決めつけること。
これらはつまり白か黒か、二元論で物事を決めつけることだが、この映画は、この考えに警鐘を鳴らしているのではないか。
最近頻発するTwitterでの炎上や、事件を見ていて思う。
「人は自分の基準で善と悪を決めている」とはアーサーの言葉。善も悪もその人の主観であり、この世に絶対的なものは無いのではないか。
それでも人間はどちらかの立場に立ち、自分が正しいと主張したがってしまう。
これは昔も今も変わらない…のか？
アーサーが求めていたのは、シンプルに優しさや愛情だけだ。(その証拠に、同じアパートの住人で好意を示してくれた女性や、職場の同僚には手をかけていない)
彼の立場になった時、自分は狂えずにいられるだろうか…？
