きむ

ジョーカーのきむのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.8
ジョーカーの「迷惑かけるつもりはない!ハグしてほしいんだ!」という言葉が、この映画の全てに思えた。
誰も自分のことを見てくれない、気にしてくれない、関わろうとしてくれない、認められない。
妄想の中だけで、スポットライトと喝采をあびる。
この孤独をどうすればいいのか?

自由になればいい、喜劇も悲劇も、主観なんだとジョーカーは言う。
自由になったのかな?

笑いが止まらない病気と言う。
でも、終盤に近付くにつれ、思ったときに笑えている。
病気ではなく、これも一つの解放だったのかな。
笑わなくちゃ、笑わせなくちゃ。
ハッピーという呼び名すら、呪いになってたのかも。

最後の
「ジョークをおしえて」
「いや、理解できないさ」
幼いブルース・ウェインが立ちすくむ。
富んでるブルースが、最底辺のジョーカーに今後の人生を縛られる。
ジョーカーは注目を得続ける。

最後の最後
眩しい光の中で、手錠をはめられたまま、奥に向かって、追いかけられて。
追いかけられてるのに、嬉しそうだったのは、気のせいじゃないはず。

アーサーは人を笑わせたいなんて思ってない。
コメディアンになりたいなんて思ってない。
心の底から欲しいものは、大切な人からのハグだけだったんじゃないかな。
笑う練習をしながら、涙を流さなくてもよくなってしまった。
血で笑顔でいられるようになってしまった。

とにかく、ダークナイトのジョーカーとは別物だな。
きむ

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