「みんながもう少しだけ優しくなっていれば…」と思わずにはいられなかった不条理と怪人ジョーカー誕生の物語でした。
生まれや病、境遇で所謂「どん底」にいながら大道芸人として精一杯生きていた「いい人」アーサーが、
少しずつ社会の冷たさ、自分の病から来る小さな歯車のズレから追い詰められていき、ある出来事で遂に一線を越えて行くのですが、
「どんどん居場所がなくなっていく」のが観ていて辛かったと同時に、「誰でもジョーカーになりえる」んだな…と戦慄もしました。
面白かったのは話が進むにつれて
・根底にあるのは「理解してほしい」「受け入れてほしい」という大人でも誰しもが持つ欲求だということ。
・理解を示してくれる同僚などいたが、結果として殆ど大半の人が彼にとって「冷たく」接してしまったこと。
という「どうしようもない不条理」から
・心を通わせたと思っている異性との顛末。
・生みの親、そして父親(実の父疑惑の人物と、コメディアンとして慕っていた目標(父)人物)からの拒絶
段々と「自身の思い込みとある種のエゴ」で居場所をなくしていくので、怪人ジョーカーに「なってしまう」ではなく「自ら成った」様に見て取れることです。
*左手と右手の使い分けでアーサー)としてなのか、ジョーカーとしてなのか、本当と嘘どちらなのか?…という考察とかもありますので興味がある方は調べてみてください。
重苦しい映画ではあるし、派手なアクション映画ではないのですが、観る人それぞれに違った感じ方とか解釈を与えてくれる良い映画だと思います。(2回観に行きました)