ベビーパウダー山崎

ジョーカーのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.5
コメディを撮り続けてきたトッド・フィリップス、お笑いで生きていた表現者がその対極にある暴力を描くときの容赦のなさ。陰惨でグロテスクな感情ゼロの人殺し。北野武の映画しかり稲中以降の古谷実の漫画もそう。思っている以上にシリアスでアメコミの世界観はあるにはあるが、低所得者向けの市営団地で育った他人を避け暗い顔してニヤニヤしている頭が壊れた連続殺人鬼の日常を垣間見ている(日記を盗み読みしている)ような感じ。貧困層から富裕層への反発(社会への)は表向きには確かにそうだが、political correctnessへの不満、正しさへの抵抗(文化としての)が根っこにはあるような気がする。 ホアキンは素晴らしいが、どうしても『ザ・マスター』のキチガイを思い浮かべてしまう。『アンディ・ウォーホルを撃った女』との二本立て希望。