まぁ郎

ジョーカーのまぁ郎のレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.0
バットマンの世界を切り離して、普通の社会派作品としても楽しめる。『キング・オブ・コメディ』と『タクシードライバー』の2作品を観て予習していくとより楽しめるし、ロバート・デ・ニーロが出ている意味が分かる。
また、この2作品を観て復習したくもなる。
精神疾患を起こし、そのせいで被害妄想じみた感じになる描写が、なんか凄くリアルに感じられた。

さすが、ホアキン・フェニックス。圧巻の怪演。母親思いの優しい男アーサーから、徐々に壊れてサイコ化して、最終的にジョーカーとなっていく過程を丁寧に演じていた。顔つきも最初と最後でだいぶ変わるし、ジョーカーとしての存在感を確立するラストなんて、自信に満ち溢れていたし。それは、ピエロメイクをしていても、十分伝わってきた。役作りにおいて意識したかは定かではないが、『ダークナイト』でヒース・レジャーが演じたジョーカーにうまく繋がる、通ずるキャラクターになっていたと思う。あの独特な笑い声とか、うまく昇華して、また独自のジョーカー像を確立していた。

どこまでが本当で、どこからがアーサーの妄想なのか、曖昧にしている点もよかった。捉え方によっては、最初から最後まで全部彼の妄想なんてこともあり得る展開でもある。

一瞬、あれっ『アウトレイジ 』かなって思える残虐描写もあるが、それがないと、ジョーカーらしさが伝わってこないから仕方なし。

‪作中出てきたアルフレッドが、最終的にあのお馴染みのアルフレッドになるのであれば、それはジョーカー以上に衝撃的な変わりよう‬。人柄が違いすぎないか、その後何があったんだ⁉︎とツッコミたくなる。笑
ブルースの父親であるトーマス・ウェインの描き方も信じられない。まぁ、それもこれも、アーサーでもあり、ジョーカーでもある、あの男の妄想の可能性が高いんだけど。

この作品を、わざわざシリーズ化する必要はないと思った。しかし、今後新たに作られる、ロバート・パティンソン演じる若き日のバットマンに、ホアキン版ジョーカーを再登場させて欲しいなとは思った。
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