Haman

ジョーカーのHamanのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.6
ホアキン・フェニックスすっげえでやんの。虐げられる痛々しい姿は感傷を誘うし骨の浮き出た背中は怪物を思わせ階段を小躍りしながら降りてくる姿には見惚れる。マジでホアキン・フェニックスだけで成り立ってる映画に思う。

なんだかジョーカーに感情移入できた派とできなかった派でバチバチやってるらしいけど、そもそもこの映画ってめちゃくちゃ難しくない?虚実入り混じって明らかな妄想箇所は提示されてるけど他の部分が真実だって確証はない。どこからが妄想でどこまでが現実なのか本気で分からなくって困惑してるんですが。

そんなこんなで最後の「ジョークを思いついた」って台詞。バットマン誕生の瞬間がフラッシュバックしてたから自分の覚醒が最大の敵バットマンを生んだって皮肉について単純に言ってる可能性もあるけど、第一にジョーカーって自分の出生話について毎回ホラを吹いて回る男だしそんな掴めない所が好きだったりする。
つまり映画全体がジョークで今回の出生話もホラの一つなんだって思ったらけっこうスッキリした。

アルフレッド(ブルースと一緒にいた執事ってアルフレッドで合ってるよね?)なんかの描き方が今までのバットマン群と比べておかしいのもジョーカーの脳内妄想なら納得できる。
タクシードライバーほか、ただの焼き増しって揶揄されるほどに露骨なオマージュたちも、今までのアメリカ映画を使って共感出来るレジスタンス像をジョーカー自身が作り上げたんだとしたらすんなりと受け入れられる。言うなればユージュアル・サスペクツみたいなもんじゃないのかしらん。

それに何より、このジョーカーの大ボラに同情、共鳴した観客によって現実世界でも映画の中と同じくアンチヒーローをヒーローとして担ぎ(言い方悪いかもだけど)踊らされた世評が悪に寄り添った形になってるのだと思ったらめちゃくちゃゾクゾクした!個人的に刺さったかどうかは別にして観客の反応も含めて作品が完成するってすげくないか。バンクシーかよ。

最後にあえて言うけど、どうして皆そんなにシリアスなんだ?
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