ひろね

ジョーカーのひろねのネタバレレビュー・内容・結末

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

頽廃的で煙草の煙の似合う世界観に、現実と妄想の境界をさ迷う一人の惨めな男。痩せこけた身体、もの悲しげなピエロのメイク。どこか偏った姿勢と発作的に起こる意味の無い、けれど神経を逆撫でするような乾いた笑い声。それを抑えようと顔の前で組まれた骨ばった腕、ジリジリと焦げていく煙草の根元を持った神経質な指先まで、ホアキン・フェニックスは『アーサー』という男を創り上げていて、その雰囲気に最初から呑まれた。
ささやかで小さな幸せを願いつつも、自らの手ではどうすることも出来ない現実の閉塞感、無力感。

それがあの地下鉄での事件の直後から徐々に崩れていく。
変わっていくアーサーの動き、ダンス。取り巻く環境の変化、裏切り、暴力。目が離せなくなる。
そして、車の中から荒れ狂う街を見て笑う男、アーサーの中に内包されたジョーカーが徐々に表情を見せ始める。そして事故の後で立ち上がった男は間違いなく『JOKER』だったと思う。

DC作品のいちキャラをここまで魅せたトッド・フィリップスは凄い監督だし、それをうけたホアキン・フェニックスは本当に凄い役者だ。
ヒース・レジャーのジョーカーももちろん凄かったし大好きだけど、違う次元でホアキンのジョーカーも大好きだ。


長くいろいろ書いてしまったけど、友人の『痩せたホアキン(の映画)観るー』の一言が今でもツボってます。
ひろね

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