このレビューはネタバレを含みます
いちばん地味に印象的だったのが、アーサー(ジョーカー)が、コメディの舞台を観客として見ていた時、彼の笑う瞬間が、ほかの観客達の笑っているタイミングと全くずれていたところです。もちろん、声のトーンも悪目立ちしていて。メモを取りながら見ていたけど、そのメモ内容もピントが外れていた。
「タクシー・ドライバー」でトラヴィスが、大事なデートで女の子を、ポルノ映画に連れて行ってしまうシーンと重なりました。
つまり、どちらの主人公も、不運な弱者であるだけでなく、センスとか教養を身につけることも出来ず成長してしまったと、いうことを表現しています。
例えば仮に、生まれ育ちが不遇で、仕事もうまくいかず、異性にも縁がない主人公だったとして、だけど、彼は本だけは子供の頃から読んでいて、一定の教養を身につけている人物だったとしたら……。
ジョーカーやタクシー・ドライバーのような物語には、ならないと思うのですが、どうかなあ。