さき姐

ジョーカーのさき姐のレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
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上映中ずっと眉間にしわが寄ってたかも。
ホアキンがひたすら笑うのとは対照的に、わたしはずっとしかめ面。
あの笑いが、笑顔が、
流れるのは涙なのか唾液なのか鼻水なのか、そのぼろぼろの顔が、
あばらの見えた大きな体が、
じとっとした長い髪が、
でもなによりあの笑いが、
痛ましくて痛ましくて…
もはやケンローチとかが監督しててもおかしくないレベル。


─I used to think that my life was a tragedy, but now I realize, it's a comedy.

惨めで苦しい、悲劇のような経験も、それは自分が主観的に体感しているから。傍から見れば実は喜劇に見えるもの。
チャップリンがそのようなことを言ってたそうな。
小さな段差につまずいた人本人にとってはそれは悲劇だけど、誰か知らない人がつまづいてる様子を見るとぷぷっと笑ってしまう。

ハングオーバーの彼らも本人たちにとっては悲劇。朝起きたら部屋にトラがいる、知らない赤子がいる、歯が一本無い、連れがひとりいない、でもなんでか解らない、まるで身に覚えがない、何も思い出せない、、、
悲劇ですよ。

ホアキンでジョーカーやるんだー、おー!
ホアキンならやってくれるだろなー、
かつ彼なら死なないだろなー、
監督はー?

ハングオーバーの監督じゃね?
え?
せっかくホアキンつかうのに?
とはじめはなりましたが、そうか。
笑いって難しいんだ。

こういう言い方でいいのかわかりませんが、
映画序盤のアーサーの笑いは彼、そして世間にとって「間違った笑い」
終盤のジョーカーの笑いは「正しい笑い」に見えてきてしまい、恐ろしさを感じました。
もはやあの結末がハッピーエンドに見えてくる…
これがジョーカーの狂気。

あっぱれ。
さき姐

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