明言されない。妄想か現実か?
だからこそ、悪辣かつ不気味
この作品は明言されない箇所が多い。
アーサーの妄想なのか、ストーリー上で
実際に起こっていることなのか…
確信を持てたと思ったらそれが覆る
中盤以降はその繰り返し
序盤こそ、アーサーという人間に
これでもかというほどこの世の負が襲い掛かり
それでもめげずに懸命に生きようとする
ヒューマンドラマのようにみえるが
それすらも嘲笑うように
アーサーが打ちのめされて…
観てる側の精神すらも揺さぶるほどに
この作品は過激で不安定
その雰囲気全てが正に、不気味で残虐な
あのジョーカーの如く
アーサーがジョーカーなのではなく
ホアキン・フェニックスの怪演
悲劇を喜劇に変えるような音響
最後まで霧を見せられているような
実体の掴みにくい脚本
全てが不気味で、その全てで1つジョーカー
そんなことを思ってしまう
狂気に満ちた怪作