こたつムービー

ジョーカーのこたつムービーのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
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仕方なしに、観に行ったところがある。
話題作だ。話題作は行かんと語れんからね。

まず、ホアキンに二の足を踏んだわ。ホアキンかー、まじかー、と。
それとイケメン監督トッドフィリップスもそこまで好きではないので、逡巡してる間にもロングランの気配。で、今日、しかたなしに、出向いた。

予想通り、というか予想以上に、
ホアキンはホアキンだった。
もうホントいかにもホアキンで「マスター」から付き合ってる身としてなんら驚かない。

で、ペーソスがきつい。これはキツ過ぎる。が、それこそが「狙い」なわけでこの感慨はオレの好みでしかない。

で、好みを別として、の話。

ホアキンフェニックスのオスカーは受賞当確だろうと確信。それと、ここまで徹底して「科学的な」脚本も脚本賞は堅い。追込み方が徹底している。

この映画が茶化せないのは、自意識と実力のギャップ、持つものと持たざるもの、など、あまりにも身近な狂気を題材にしているからだ。
「オレはちがうもんねー」と遠ざけたり茶化すと、それだけで嘘くさくなる厄介な作品だ。

だが、敢えて言ってやる。
向いてないよ、アーサー、あんた、と。
おまえ、コメディアンに向いてねえよ、
と冷静に伝えてやりたいわ

だが本当の狂気は
そんな他人の言葉などでは「自分を顧みれない」ところにある。

が、この現象すら誰が批判できるもんかね?

きわめて現代的だし、どの時代にもあり、もっと言うと「当たり前な感情」を扱っている。ジョーカーはジョーカーで、その当たり前の感情に溺れた、ただのナルシストだ、とも言える。

しかしまあ茶化せんね。
とにかくペーソスはきつい。それと娯楽作ではない、と言っておく。ケンローチのような映画。
デニーロのキングオブコメディやタクシードライバーがどうの、の前に、道徳映画。
殺人鬼の実録モノってたまにあるわけだが、それと等しく道徳映画に思う