このレビューはネタバレを含みます
嫌がらせか?というくらい高いハードルを設定されていた本作ですが
(アカデミー賞確実とか笑)
それを余裕で越えてきます。
もはや涙なしには見られません。
少し偏った見方かもしれませんが、
狂っているのは自分か、それとも世界なのか?
という苦しさにひたすら悩み、耐え、
ついには歪んだ自己(ジョーカーという新しい自己)をも肯定して救われた男の話かなと。
もうとにかく悲しいトンチだらけです。
そもそも、アーサー(ジョーカーの本名)は笑いどころがおかしいです。
社会性の象徴とされる笑いを理解できないアーサーがコメディアン目指すという
時点でまず悲しすぎます。
それほどまでに社会に溶け込みたかったアーサーですが、
哀しいかな
アーサーの間は拒絶されてばかりです。まさにゴミのように扱われていたのに、
自己肯定の塊になったジョーカーは、ゴッサムシティの歪みを象徴するヴィラン
として民衆に持ち上げられます。
それ以外にも、全くハッピーでないアーサーの愛称が”Happy”だったり
冒頭ピエロに扮したアーサーが唄う
🎵if you are happy and you know it then stamp your feet🎵
(幸せなら足踏みならそう)
にかけているのか、やたらHappy(アーサー)の間は
ペタペタ(stamping feet)歩いたり
細部までかなーり作り込まれています
もちろん全体としてもかなり綺麗に纏まっており、
テンポも良いので全く飽きません(あまりの理不尽に涙が止まりません)。
とにかくアーサーは孤独で、次第に闇に呑まれていきます。
そして一周まわっての開き直り!
とんでもない狂人になってしまいますが、ジョーカーになった時のカタルシス
は筆舌しがたいものがあります。
ジョーカーになった彼は救われたのでしょうか。
それとも、闇に落ちてしまったバッドエンドなのでしょうか。
それを決めるのは、観客のあなた次第です。
この格差社会に本作が作られたということにも考えさせられものがありました。