ベカオースター

ジョーカーのベカオースターのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.0
先ずは音楽が素晴らしい。スタンダードナンバーに混じるオリジナルスコアがヒルドゥル・グズナドッティル!(故ヨハン・ヨハンソン楽団のチェリストで、ずっと作品追いかけているコンポーザー) それだけで涙。主演はホアキン・フェニックス(故リバー・フェニックスの弟)。私と映画話したことある人はガス・ヴァン・サントのファミリーツリーを熱く聞かされたことある筈。「マイ・プライベート・アイダホ」で故リバーを子役から名優へと橋渡し、最新作「ドント・ウォーリー」でもホアキンを主演起用したガスの見出した役者の1人がベン・アフレック(前バットマン役)。彼の弟のケイシー・アフレックの監督映画が「容疑者ホアキン・フェニックス」で、この不謹慎な問題作のせいでホアキンとケイシーはずっと映画業界から干されていましたが、ガス・ファミリーの助力で復活したケイシー・アフレックは「マンチェスター・バイ・ザ・シー」でアカデミー主演男優賞。その兄貴バットマンの宿敵ジョーカーを因縁のホアキンが演じることは、ガス・ヴァン・サントの引力が成した偶然の奇跡としか言えません。それも涙。今作の怪演でホアキンに興味持った方はポール・トーマス・アンダーソン監督作「インヒアレント・ヴァイス」も観てね。で、やっと本編感想ですが、今作ホアキン「タクシー・ドライバー」でのロバート・デ・ニーロと比較されるでしょうが、個人的には、狂気/暴力/抑圧/解放の図式は「時計じかけのオレンジ」からの影響が大だと感じ、ホアキンのアップ多用にマルコム・マクダウェルが重なりました。で、痩身の舞踊はバウハウスのピーター・マーフィーのような暗黒の妖艶を想わせました。観終わってからもずっと鳥肌治らず。贅沢言えば当初の企画だったコッポラ×ディカプリオのヴァージョンも観たかったかも。