2019年のトッド・フィリップス監督作品。
あのヒース・レジャーに勝るとも劣らない存在感でジョーカーを演じ切ったホアキン・フェニックスの怪演に終始脱帽。何が妄想か現実か、全てが曖昧になって狂っていく様子は鳥肌もの。ラストもそう考えると本当に何も信じられない。
アーサーがジョーカーになっていく過程を丁寧に見ると、どうしても同情してしまう。あのジョーカーも歪んだ社会の犠牲者の1人でしかないんだよね。小さな悪意が積み重なって1人の狂気を生み出してしまった。言ってしまえばそれだけのこと。誰もがジョーカーになり得る可能性を示唆してる恐ろしさ。
ペニーを非難してアーサーを拒絶したトーマス・ウェインやアルフレッドが冷たい人間にしか見えなかったのも興味深い。あの描写も弱者のみに向けられた人の本質を捉えたものなんだろうか。