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長いお別れのmahoのレビュー・感想・評価

長いお別れ(2019年製作の映画)
5.0
最近、祖母の認知症が一気に進行し、「長いお別れ」というタイトルの映画があったことを、ふと思い出しました。

正直、私の知っている祖母にはもう会えないような感覚が受け入れきれず、戸惑っていましたが、この映画にひとつの答えを見せてもらったような気がして、勇気づけられました。本当に、今観ることができてよかった。

メリーゴーランドのシーンが好きです。
家族が認知症になったら、悲しいこと、どうしたらいいのか途方に暮れるようなことがたくさん起きるけれど、実は、忘れていた大切な思い出や、家族のあたたかさに気づかせてくれることもたくさんあるなあと、自分もちょうど実感していて。

それに、認知症になる以前の姿はもうないと思っても、ふとした時にその人本来の性格、優しさがもろに現れることがあるんですよね。山﨑努さん演じるお父さんの行動、笑顔は、私が祖母に感じた愛おしさ、そのものだなあと感じて、号泣してしまいました(本当に素晴らしい演技でした)

冒頭、本を借りるシーンも強く共感しました。同じことを何度も聞かれたり、おかしな事を言われたりすると、相手の気持ちを害さず、プライドを傷つけず、どう訂正したらいいのか、すごく難しいですよね…

私は、悩みを相談したらいつも的確なアドバイスをくれる、強くて聡明な祖母が大好きでした。たぶん同じような会話はもうできないし、この先もっと話が通じなくなってしまうかもしれない。それでもこの作品の姉妹のように、ただ隣に座って話をして、その答えに「なに言ってるのよ」と笑いながらも元気をもらう、そんな家族でありたいなと強く思いました。

中野量太監督の作品は「湯を沸かすほどの熱い愛」も「浅田家!」もそうでしたが、あたたかくて優しくて家族に会いたくなる、本当に素敵なものばかりですね…。家族に重なる人もそうでない人にも、お勧めしたい作品でした。
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