YUMI

いつか家族にのYUMIのレビュー・感想・評価

いつか家族に(2014年製作の映画)
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序盤はコメディ、そこから思いっきり胸糞、さらにエグエグ…と、鑑賞中は嫌な気分になる時間の方が多いのに、後味が結構イイという、不思議な作品でした。
順番に見て行くと、まず主人公が街の小町娘に惚れ込んで強引に射止めるまでがコメディ。
二人は結婚し、三人の子供にも恵まれて、それなりに幸せに暮らしている。しかし長男の顔が、妻が昔の付き合っていた男に似ていると、小さな村の噂になり出した事から騒動が始まる。
噂を払拭しようと長男の血液型を調べたところ、やはり元カレの息子だったという事が判明。
それは確かに父親としてはショックだろうけど、途端に手のひらを返したように長男に冷たくなるってのが超胸糞。
子供には罪はない、って発想はないんでしょうか。おまけにこの長男、すごくイイ子で、顔も可愛いんですよね。だから、この子が可哀想で仕方ありませんでした。
生みの親より育ての親、なんて言いますが、子供にしてもそれは同じで、子供や家族への愛は、血の繋がりよりも、一緒に過ごした時間の方が大事なのではないかと。
そりゃ、それまで実の子だと信じていた息子が他の男の種だったと知ってしまえば複雑な気持ちにはなるでしょうし、その事を村中の人間が知ってて、実の父親も近所に住んでるともなると、事はさらに難しくなると思います。
しかし、それだったら、逆にその子を立派に育て上げ、息子のいない実父(こっちに女の子しかいない)を「どんなもんだい!」と見返してやればいいんじゃないかと。
母親も母親で、子供にこんな仕打ちをするダンナなんか捨てて、子供達とだけ生きる道を選べばいいのにと思わずにいられませんでした。
時代的に離婚は難しかったのかもしれませんが、経済的な事だけ考えれば、あのダンナ、全然働いてる様子もなかったし、妻にはポップコーン屋という家業もあるのだから、別れても生活できないこともなかったと思うのですが。
その後、まあなんだかんだあって(この辺は大胆に省略w)、主人公は一時は実父の家に養子に出そうとも考えていた長男を取り戻し、家族に笑顔と幸せが戻ってくる。
ところがその矢先、長男が脳炎で倒れてしまう。
高額な治療費を捻出するために、主人公が取った方法が売血。
この売血ってのは、ラクに大金が稼げる方法として、最初に出てくるんだけど、もちろん一定期間時間を空けなければ血は売れない。
なのに主人公はあちこちの病院を駆けずり回って売血を繰り返すんですね。
このくだりがエグエグ。
もうやめなよ、死んじゃうよ、それより早く息子のそばに行ってやりなよ、と思いました。
瀕死の状態で、ようやく息子のいる病院にたどり着いた主人公でしたが、息子も妻も病院にはいませんでした。このあたりがよくわからなかったのですか、何故病院側は母子が入院している事を教えてくれなかったんでしょうね?
フラフラと街を彷徨うお父さんを、息子が探し回るシーンにはハラハラドキドキしました。父親も死にかけだし、息子も重病なんだから、もしかしたらどちらかが、あるいは両方ともが再会できないまま死んじゃうのかもしれない、と思うと、早く会わせてやって!と祈る気持ちでした。

結局、最後はハッピーエンドだったので、ハラハラした分、カタルシスが感じられて、そのせいで後味が良かったのかもしれませんね。

あと、もう一つわからなかったんだけど、あの実父の遊び人、結局あの後死んだんですかね?
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