ベラボー

ホットギミック ガールミーツボーイのベラボーのレビュー・感想・評価

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2019年度日本映画マイベスト1。

少女少年6人の猛烈鮮烈なる初恋“たち”を衝動的に描く映像詩映像舞踏。
周囲に自分自身の分からなさに振り回されていたヒロインはやがて周囲を分からない自身をも振り回しミライ九龍城軍艦島な豊洲CITYを自由に狂おしく舞う。
原作モノに映像作家:山戸結希の毒注入。面白いっ!!
生涯ベストの1本「おとぎ話みたい」以来の怪作かつ大快作。
オリジナルをもちろん観たいですが猛毒なる個性と闘える原作モノもっと観たいかも。もっと先。
やっぱりウォン・カーウァイ監督との鮮烈なる出会いが蘇ります。共感とか超えた分からんけど快感な映画体験。
ヒロインは乃木坂の堀未央奈ちゃん。だけどそれはほとんど意識されず。
彼女自身が役と作品世界に振り回され闘い空っぽ躁状態でスクリーンを舞っているように見えた。
仰ぎ見える鼻の縁のほくろ。彼女含めた美少女美少年たちのドアップの鼻の毛穴肌感。ひゃー。

タイトル出るまでのオープニングシークエンスの鮮烈さ。あの駅ホームのシーンほんと素晴らしい。
正直全くヒロインの言動に共感も感情移入もできない作品なのにだ。ボーイズに出会うことで恋の本能に目覚めて自身の理性も感情も支配しちゃうガール。ボーイズは触媒でしかなく恋愛関係を一緒に築くことはできない。ガールには必要ない。「愛がなんだ」のテルコを思い出す。自己完結単体生殖的恋愛。
堀未央奈ちゃんあのヒロインにどう成っていったのか、山戸さんはどう演出したのか。昆虫の走光性みたいにも見える感情それは本能な。空っぽにも見えるし。自分でも理解できない感情を分かろうともがく姿はヒロインと堀未央奈ちゃん自身に重なる。
全くの的外れかも知れないけど(笑)誤読もまた楽し。思い出し思い出し巡らす巡らす。

あれだけインパクトあったのにヒロイン堀未央奈ちゃんなんか透明になってきとるんよね。男なら3人がくっきり残っている。ヒロインと映画世界自体が一緒に溶け込むというか。不思議な感覚。
汚れた血や恋する惑星にスクリーンで出会った時の鮮烈な感覚。面白いとかじゃなくてもっとココにダイレクトにクル感じな?思い起こすとぶり返す。時間置いてフラットになったらまた観よう。
昔上司と先輩と飲んだ時に話したこと。君らにとっての岩井俊二が俺らにとっての石井聰亙だった。君らにとっての石井聰亙が僕らにとっての大島渚だった。山戸結希監督もそういう存在になるのかな?

19.6.8鑑賞
ベラボー

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