どらどら

ホットギミック ガールミーツボーイのどらどらのレビュー・感想・評価

5.0
- そう”見える”んじゃなくて、そう”見てる”んじゃないの?

“選ばれる”のではない
“選ぶ”のだ
恋も、人生も、その全てを

だって
わたしの顔も
わたしの体も
わたしの声も
わたしのものだから!
それを奪うことなんてできるわけない!!

明日のことなんて何にもわからないけれど
今ここにいて、今ここで息をしている
それだけはわかる
それだけ?
それが、永遠だ

「そもそも大前提として言うけど、お前がこの世に生まれた時点でもう選ばれてるってことじゃないの?」
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山戸結希の「溺れるナイフ」に完全にやられ、その物語の切実さに自分の人生が切り裂かれた感覚(救われた感覚)があって、逆にその思い出が壊したくなくて本作を見るのは避けてきた
でも、思い立って見てみたら、とんでもない作品だった
これは、この物語は、自分のためにあるのではないか?
そう錯覚させる切実さに貫かれ、間違いなく僕の人生はまたしても山戸さんに救われた

はじめ、キモすぎ俺様男×2で結構きついのだが、それが展開していき、成田が主体を獲得していく過程に魂が震えた
「からっぽ」と揶揄された成田を「からっぽ」だと「見てる」のが自分たちだと気づかされる構造は、「本気のしるし」にも通じるところがあるし、物語の展開自体は「寝ても覚めても」にもかなり近い
でも、MV的とも揶揄されがちな山戸演出は、その主体が獲得される瞬間の煌めきをさもMVのようなエモさで、それでいて圧倒的に映画表現(物語的蓄積が可能だから!)として成立させきる
そこに本作の特徴はあるし、だからこそこの物語は普遍だ

「ガールミーツボーイ」という主語の入れ替え!により明示される主題
「目的語としての女の子を解放し、主語としての女の子を描き出す」
これこそ「現在を生きる女の子に捧げる」という謳い文句の意味だ
でもそれは、主語の入れ替え可能性の証明であり、男性はその主語から降りることができる!という解答の提示でもある
有害な男性性を匂わせていた2人+兄は、物語のラストで明らかに解放される
それは、彼らは彼らで主語を降りられる、「バカになれる」と気づけたからであり、これは実は男(それも梓のような有害な男も!)救ってくれる超絶優しい青春映画なのだ!!!

まじですごい!!!
山戸さんすごすぎる!!!
泉まくらの音楽のマッチ度もエグい!!!
ちょい役の吉川愛!!!
これを主役ほぼ演技未経験のアイドル(そう、アイドル!)で撮るのすごい!!!

早く次の作品が見たい〜
どらどら

どらどら