このレビューはネタバレを含みます
「私の身体は私のものだ」
本作はこの台詞に代表される様に身体のコントロール権(所有)を巡る異質な恋愛映画である。山戸作品に通底するテーマの一つで、特に「玉城ティナは夢想する」と近似している。身体の自由を奪われて振りまわされ続けた主人公の初が兄を誘惑するシーンは衝撃的だ。ピクチャーインピクチャーの中央に主人公・初が配置され、客体としての自分を自覚しつつ己の身体のコントロールを奪還し、相手を誘惑しさえする。初と亮輝の台詞がぶつかり合うラストシークエンスは、一秒たりともよそ見は出来ないほど鮮やか。ストーリー以外だと衣装の変容や画面の色彩など素晴らしい点が多すぎて語り尽くせない。また、カット割が早すぎて人物を捉えられていないという言及も分からなくないが、個人的には漫画的かつ既成概念をぶち壊す山戸作品にはピッタリだと思った。あと堀未央奈さんの演技は最高っすね。
