まつこ

リンドグレーンのまつこのレビュー・感想・評価

リンドグレーン(2018年製作の映画)
3.8
長くつ下のピッピの作者であるアストリッド・リンドグレーンの伝記映画。

切ないけれど愛に溢れていて、子育てを頑張っているお母さんに観てもらいたい作品だなぁと思った。妊娠や出産時のことを思い出すだろうし、もし今が困難な状況だとしても、そばにある幸せに気づけるはず。作りはよくあるサクセスストーリーではなく、創作意欲の源を描いたもので、具体的にアストリッドがどうやって作家になったのかは見えない。だけど、子どもだったアストリッドが女や母として成長する姿に心を揺さぶられた。

不倫、未婚での出産、子と離れ離れの日々など決して幸せな話ではないんだけど、最後には希望が溢れていて、彼女が子どもの権利を主張した理由がちゃんと描かれている。実際どれだけ脚色されているのかはわからないけど、これを観てから彼女の作品を読んだらまた感じ方が変わりそう。(思い出したら泣けてきて読み聞かせどころじゃなくなるかもな)

合間に挟まる子どもたちのファンレターがいいアクセントになっていた。作品に出てくる「お腹が空いてさみしくても闘い続けられる子」は子を思う母の願いだったんだろうね。ピッピがどうして作られたのか知りたくて観た人は残念に感じてしまうかもしれないし、人によっては刺さらないのかもしれないけれど、個人的には出会えてよかったと思える作品だった。
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