メガさわ

リンドグレーンのメガさわのレビュー・感想・評価

リンドグレーン(2018年製作の映画)
3.4
期待以上に楽しんだ。

これ、伝記物として見ると
ちょっと違うかもしれない。
この映画は
「かの有名な児童文学作家が
どのようにして生まれたか」
についての映画ではない。
と個人的に思う。

あくまで、とある1人の少女が、
大人になるまでの話として観た。

前半の牧歌的な雰囲気に、
これが「やかまし村」の原風景かー、
なんてことは思いつつ。

ぽつりぽつりと息子に対して
物語の断片を綴るシーンがよかった。
ああ、こういうものが積み重なって
作品になったのだなと。
そういうポイントが
要所要所に感じられた。

モノを作る人というのは
ある日突然作家になって
作品をボンボン生み出すわけではなく
(そういう人もいるけど)
この人のように
人生のメインイベントの隙間隙間で、
断片を集めていき、重ねていき、
ゆっくり大成する場合もあるのだろう。

ほろ苦い経験、
「女」「母」であることに
女性自身が感じる不安や葛藤、
モヤっと感など、
女性監督らしい描き方だと思った。
痛々しさがいい。主役の演技もよかった。

婚約指輪まで用意したのに結局振られてしまった彼はかなり不憫だが、理屈ではハイと言えない、ほんの少しのすれ違いで愛が醒めてしまうこともあるという…リアルだな。(史実に基づく映画だから当たり前か)

振り返り構造は、あんま意味ないなと思ったけど1シーンだけ、
「あなたの作品に出てくる子どもは強いです」というメッセージと、
親の都合で1人になってしまうわが子について電車の中でぼんやり考えてる姿がオーバーラップして、ここだけやたら演出が活きてていいな!と思った。

最後に一言ボソッと…
(邦題が微妙かもしれない……)
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