烏丸メヰ

ムルゲ 王朝の怪物の烏丸メヰのレビュー・感想・評価

ムルゲ 王朝の怪物(2018年製作の映画)
3.8
「モンスターが見上げるほど巨大すぎず・一体のみ」というモンスターものが好き。

疫病蔓延から10年、未だ荒廃した国に、山奥に恐ろしい獣“物怪(ムルゲ)”が出るという噂が起こる。
噂を利用し王に成り代わろうとする宦官は、物怪調査隊を山に送るが…

気軽に楽しめるエンタメムービーとしては個人的にかなり高得点。
ストーリーは簡潔にまとまり、モンスターあり、一対一・多数対多数のバトルあり、群衆描写ありと視覚的にも盛りだくさん。
一度現役を退いた正義感の強い男、彼に義理を誓う弟分のおもしろおじさん、生真面目だが勇敢な若き役人に、医者を夢見る娘など、登場人物もみな魅力的。
どこまでもしたたかな悪役、老体にも関わらず調査隊に志願するお爺さんら、脇役も個性的でそれぞれに見せ場があって楽しかった。
韓国映画のコメディリリーフの感じを最近やっとつかみつつある(笑)。

『グエムル』を思わせる邦題だが、ハングルで怪(グェ)物(ムル)、物(ムル)怪(グェ)なので敢えてそうしたのか。

冒頭で書いたが個人的に
「モンスターが見上げるほど巨大すぎず・一体のみ」
というモンスターものが好きで、かつ舞台となる規模感がめちゃくちゃちょうどよく、森、町、そして王宮などそれぞれでのシーンやアクションもバッチリ雰囲気が良い。

恐ろしい獣として噂される“ムルゲ”だが、その存在やプロパガンダに使われる虚像としてとしての立ち位置に、やや物悲しさを感じずにはいられない。
なかなか愛着のわくモンスターだった。

日本の時代劇でもこういうの見たい。
(宮部みゆきさん原作のドラマ『荒神』は映像と雰囲気はかなり好きだったんだけど、デザイン改変がダメでした)
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