りょう

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士[完全版]のりょうのレビュー・感想・評価

3.8
 「ミレニアム」3部作の完全版を観終わりました。全部で9時間超の大作でしたが、物語はどれも面白くて飽きることもありませんでした。TVドラマの6本を3本の映画にまとめているので、3時間の中盤に盛りあがりが訪れる展開もよかったです。
 この作品は、2作目の「火と戯れる女」から時間軸も連続していて、無駄な導入パートもないまま緊張感が継続します。リスベットは病院→拘置所→裁判所でずっと拘束されているので、ほとんどアクティブなシーンがありませんが、頭部の手術でヘアスタイルがヘヴィーメタルのバンドマンみたいになってカッコよかったです。
 彼女の周囲の登場人物が多彩で、新しい登場人物が次々と登場しますが、ほとんど年配の男性だし、スウェーデンの人名も馴染みがないので、顔と名前を一致させるのが大変です。リスベットの主治医が意外とナイスガイで、彼女に携帯端末を提供したり、警察の尋問を先延ばしにさせたり、かなり活躍していました。公安警察の若い女性捜査官も魅力的でした。
 悪玉の目論みがなかなかはっきりしませんが、善玉の公安警察が登場するあたりから展開がスムーズになり、少し予定調和でありながら、そこそこ納得できるエンディングにつながりました。
 もともと原作は4作目以降も予定されていたようですが、原作者の死去によって実現しなかったそうです。パンクファッションで孤高の天才ハッカーというリスベットの魅力が2作目以降で描かれなかったのが残念ですが、なかなか観応えのある3部作でした。
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