MasaichiYaguchi

ストレイ・ドッグのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ストレイ・ドッグ(2018年製作の映画)
3.5
ニコール・キッドマンが特殊メイクして初の刑事役に挑んだ本作の原題は“Destroyer”なのだが、その意味合いは終盤で明らかにされる。
この作品はニコール・キッドマン演じるエリン・ベルの復讐劇を描いているのだが、その発端は17年前の潜入捜査事件に遡る。
だから酒に溺れて心身共にボロボロの現在から未だ若く魅力的だった潜入捜査官時代を振り返るような形でストーリーが展開していく。
彼女にとって17年前の事件は負の十字架となり、トラウマを与えるもので、或る切っ掛けでそれと対峙する羽目となり、ポスターやチラシの「あとひとつ、やり残したことがある…」というキャッチコピーにあるように彼女なりの“落とし前”を付けようとする。
この作品を観ていると「二兎追う者は一兎をも得ず」「欲深き人の心と降る雪は、積もるにつれて道を失う」とか、「人を呪わば穴二つ」という言葉が浮かんでくる。
自らの欲望や野心のまま行動すれば、やがてそのツケは自らに返ってくるということを、本作はハードボイルドに描くサスペンスノワール映画だと思う。