カワウソのアイサツ

アド・アストラのカワウソのアイサツのレビュー・感想・評価

アド・アストラ(2019年製作の映画)
4.0
これは好き嫌いが分かれる映画ですねぇ。
私は大好きでした。

宇宙の果てしない空間に向かって拡がる孤独と心の内に拡がる孤独を表現してて壮大でした。

なんだかジョージ・クルーニーの『ソラリス』みたいな感じでしょうか?

ストーリーは起承転結が派手なSF映画ではなく、ひたすら内省的な語り口で進んでいきます。

ブラッド・ピットが好きなら、ズーンとした静寂が好きなら、NASAのお宝映像が好きなら、楽しめると思いますが、そうでなければ楽しめないかもです。

ブラッド・ピット演じる宇宙軍のマクブライト少佐の孤独を宇宙空間の孤独で表現した映画なので、終始砂地に雨が染み込むような感覚です。
それなのに、IMAXで体感した音圧と圧倒的な
映像のせいでラストまであっという間でした。

観る人を選ぶ映画かも知れませんが、公開が終わって、DVDや動画配信を自宅のテレビで観たならば、大きなスクリーンで観なかったことを後悔すること請け合いです。

映像も音も素晴らしかったのですが、字幕の格調高さもそれに相応しいものでした。
これは秋の夜長に観てこそ価値があると思いました。

『カリフォルニア』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のちょっとお下品でワイルドなブラッド・ピットとはまた違った魅力で、ああいい俳優さんだなぁと余韻に浸っております。